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横浜地方裁判所 平成8年(ワ)4044号 判決

原告

髙木寛

右訴訟代理人弁護士

藤原宏髙

井奈波朋子

被告

株式会社ケイネット

右代表者代表取締役

大森康彦

右訴訟代理人弁護士

日野修男

千川健一

樋口收

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  原告が被告の運営するパソコン通信サービスCOPERNICUS(コペルニクス)の会員である地位を有することを確認する。

二  被告は、原告に対し、金一〇〇万円及びこれに対する平成八年一二月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、パソコン通信サービスK―NET(以下「ケイネット」という。)によるパソコン通信事業を主宰している被告との間でケイネット利用契約(ケイネット入会契約、以下「本件契約」という。)を締結し、ケイネット一般会員(以下「会員」という。)となった原告が、会員であれば自由に閲覧することのできる公開の電子掲示板「みんなのフリートーク」上に種々の書き込みを行ったことについて、被告が、右書き込みは本件契約の際に合意した会員規約に違反するとして、本件契約を解除した上、本件契約に基づき原告に貸与した識別番号(以下「ID」という。)を抹消したため、原告において、右解除が無効であるとして本件契約上の会員としての地位を有することの確認を求めるとともに、右解除及びID抹消の措置が不法行為に当たるとして損害賠償を求めている事案である。

一  争いのない事実

1  被告は、平成二年一〇月一九日、パソコン通信サービスの提供を目的として神奈川県と民間企業との共同出資によるいわゆる第三セクター方式で設立された株式会社であり、平成四年四月からケイネットの提供を開始していたところ、原告は、同年一〇月九日、被告との間で本件契約を締結し、後記一般会員規約に合意してケイネット会員となり、被告からID及びパスワードを貸与された。

2  平成四年四月一日から平成七年三月三一日までのケイネットの一般会員規約(以下「第一規約」という。)は概要左記のとおりであった。

(一) 被告は、ケイネットの会員に対し、ケイネットを通じて「K―NET一般サービスメニュー」を提供する。

(二) 被告は会員にID及びパスワードを貸与する。

(三) 会員は、別に定めるケイネット利用料金(ケイネットが提供するサービスの使用料)をあらかじめ被告に届け出た手段により支払う。

(四) 被告は会員の承諾なく本規約の改定ができるものとする。この場合、事前にケイネットを通じて会員に通知するものとする。

3  右規約施行後第一規約のうち会員の禁止事項等に関する条項が変更され、変更後の一般会員規約(以下「第二規約」という。)は平成七年四月一日から施行された。右規約には、「会員は本規約に定める一切の義務を誠実に履行するものとし、ケイネットを利用するに当たり、他の会員あるいは第三者の名誉を毀損し又は侮辱し誹謗中傷するような行為、その他ケイネットのシステムに損害を与え又はケイネットの運営を妨げるような行為等を行ってはならない。」(一五条)、「被告は、金員が一五条所定の会員の義務に違反した場合、その他本規約に違反したときにはケイネットの利用を停止し又は会員資格を取り消すことがある。」(一〇条)及び「本規約は被告により会員の承諾を得ることなく変更されることがある。」(二条)との定めが置かれていた。

4  被告は、平成七年八月一日、ケイネットの名称をCOPERNICUS(以下「コペルニクス」という。)と改めるとともに、操作方法がまったく異なるホストシステムを採用した。右新システム移行と同時に従前のケイネット会員に与えられていたIDは自動的に変更になり、会員規約も変更されたが、被告と従前の会員との間のパソコン通信サービスの提供という本件契約の基本的な部分自体は変わらず、ケイネット会員は自動的にコペルニクス会員となった(以下、右変更後の会員規約を「第三規約」という。)。右規約には、「会員は、コペルニクスを利用するに当たり、他の会員あるいは第三者の名誉を毀損し、又は侮辱し誹謗中傷するような行為、その他コペルニクスのシステムに損害を与え、又はコペルニクスの運営を妨げるような行為、その他法令に違反するもの又は違反するおそれのある行為を行ってはならない。」(一五条)、「被告は会員が一五条各号所定の会員の義務に違反したときは、コペルニクスの利用を停止し、又は会員資格を取り消すことがある。」(一〇条)及び「本規約は被告により会員の承諾を得ることなく変更されることがある。」(二条)との定めが置かれていた。なお、第三規約は平成八年八月一日に更に変更された。

5  原告は、ケイネットの利用に際し、「みんなのフリートーク」(会員であれば誰でも読むことのできる公開の電子掲示板)内へ、別紙書き込み一覧表(1)ないし(6)、(8)ないし(19)記載の書き込みを行い、ケイネットのアルファベットの頭文字であるKを反転させて【】で囲んだ【V―】なるマーク(以下「本件マーク」)という。)を創出し、その使用を会員に呼びかけ、自らも、右一覧表(7)のとおり本件マークの使用を継続した(以下、右一覧表に従って「本件書き込み(1)ないし(6)、(8)ないし(19)」又は右書き込みと本件マークの継続使用を併せて単に「本件書き込み」という。)。

6  被告は、ケイネットがコペルニクスに移行した後の平成八年六月七日、原告が会員規約に違反する書き込みを行ったとして本件書き込みの削除を求めるとともに、ケイネット上で第三者の誹謗、中傷に当たる書き込みをしないこと等を内容とする誓約書の提出を要求し、これに応じない場合には原告のIDを抹消する旨勧告した(以下「本件勧告」という。)。そこで、原告は、本件勧告に応じ誓約書に蛍光ペンで署名し、被告に送付した。

7  しかしながら、被告は、平成八年六月一八日、原告から提出された誓約書の署名が蛍光ペンによりされていたことから、右誓約書の内容に付帯して「本件誓約書の内容及びこれを貴社に差し入れた経緯については第三者に公開しない。」等の文言を付加した内容の誓約書を改めて提出することを求め、右要求に応じなければ、同月二二日をもって本件契約を解除する旨の意思表示をした(以下「本件解除の意思表示」という。)。

8  原告が右誓約書の提出を拒否したため、被告は、平成八年六月二二日、原告のIDを抹消する措置を採り、それ以降、原告がコペルニクスの会員としての地位にあることを否定している。

二  原告の主張

1  本件書き込みは、以下のとおり、第二規約ないし第三規約に違反する行為に該当しない。

(一) 被告が主張する本件書き込みによる名誉毀損等は、その相手方が明らかではない上、その社会的名誉が現実に低下したこと及びこれらを原告が認識していたことについて何ら具体的主張がなく、不明確であり、被告の主宰するケイネットの運営妨害等についても、運営上の具体的支障が生じたこと及び右結果発生を原告が認識していたことの主張がないから、本件書き込みは第二規約ないし第三規約の違反行為には該当しない。また、本件書き込みの内容自体からも、人の社会的評価を低下させる名誉毀損、侮辱ないし誹謗中傷する行為には当たらないし、被告のケイネットの運営を妨害するものでもない。

(二) 被告は、神奈川県の情報流通機構の整備に資するため神奈川県が呼びかけ人となっていわゆる第三セクター方式で設立された会社であり、神奈川県の施策として市民がネットを通じて役所等に対する提案等を行う手段として積極的に利用することが予定されている公共性の高い会社であって、神奈川県と同視すべき団体ということができる。このような性格を有する被告が、ネット上での会員の発言を抹消し、あるいは会員のIDを抹消して適法で自由な言論を封じることは、憲法二一条の表現の自由の侵害に当たり、民法九〇条の公序良俗に違反する。また、仮に被告が神奈川県と同視すべき団体であるとはいえないとしても、憲法の保障する表現の自由は一般の私人間の法律関係においても最大限尊重されるべきものであるから、本件の会員規約についても右の視点から限定的に解釈されるべきである。原告が、本件書き込み等により被告のケイネットの運営の在り方等に対して苦情を述べたからといって、表現の自由の範囲内にとどまり、第二規約ないし第三規約には違反する行為に該当しない。

(三) 被告の運営方法等に関しては、かねてより原告以上に強い不満を述べ、形式的には第二規約ないし第三規約に違反する行為を行っていた会員も多数いたのに、これらの会員はID削除等の制裁を受けていないのであって、被告は原告の行為が第二規約ないし第三規約に違反する行為であるとは認識しておらず、被告及び全会員は会員規約を限定的に解釈していた。右限定的解釈を前提とすると、本件書き込みは第二規約ないし第三規約に違反する行為には該当しない。

(四) 公正な論評の法理とは、論評の前提をなす事実がその主要な部分について真実であるか、少なくとも真実であると信じるにつき相当の理由があり、その掲載目的が公益に関係づけられ、論評の対象が公共の利害に関するか又は一般の関心事である場合には、当該論評については不法行為責任を問われないとする法理であるところ、本件書き込みは、以下のとおり、公正な論評の法理の適用により違法性が阻却されるから、結局、第二規約ないし第三規約に違反する行為には該当しない。

(1) 本件書き込み(1)ないし(6)、(8)ないし(16)について

本件書き込み(1)ないし(6)、(8)ないし(16)の前提となっている事実は、被告が準備不足のままリニューアルを行ったこと、リニューアルの内容が不適切であったこと、会員からのリニューアルに対する批判を回避するために設定したローカルルールの内容、批判的発言の削除、被告の会員である寺田慶治(以下「寺田」という。)のID停止、リニューアル及び新システム移行により身体障害者によるサービスの利用が困難になったことなどの被告の運営方法のほか、会員からの批判を回避するための場当たり的な被告の態度等であるが、これらの事実はいずれも真実である。

また、原告が本件の書き込み(1)ないし(6)、(8)ないし(16)をした目的は、単に被告をおとしめようとか、被告を攻撃しようという意図に出たものではない。一連の書き込みから明らかなように、原告は、神奈川県の情報政策の一端を担っている被告が、リニューアル及び新システム移行により、身体障害者をはじめ多くの会員のコミュニティーを損なっており、被告の批判を封じたり、被告を批判した者をネット上から抹殺する行為は、ネットワーク社会における表現の自由の侵害、個人の自由な精神活動の否定であって、許されないものと判断し、被告に対し、その体質の改善を心から求めようとしたものである。

前記書き込みの対象は、被告のサービスを利用する会員らの関心事であり、また、被告が神奈川県から援助を受け税金も投じられていることからすれば、神奈川県民や一般国民の関心事でもあるから、公共の利害に関する事実である。

(2) 本件書き込み(17)ないし(19)について

本件書き込み(17)ないし(19)の前提となっている事実についてみると、「逃げ回る弁護士」との書き込みについては、被告代理人千川弁護士が寺田のID抹消に関する問題を自ら内容証明郵便で送付しておきながら放置したとの事実、「訳の分からぬことを書き続けるマネージャー」との書き込みについては安易な書き込みの抹消等マネージャーの対応に問題があった事実、「あすなろ」氏についての書き込みについても同氏の対応の悪さという事実、「ヤマさん」「鳥さん」についての書き込みについてはこの人物らが被告に対し批判的な会員らに対し非難の書き込みをした上で通常の退会手続によるID抹消時期とは異なる時期に突然ネット上から姿を消した事実であり、これらの前提事実はいずれも真実である。

原告が右書き込みをした目的は千川弁護士らを個人攻撃する意図ではなく、マネージャー、被告の対応改善等であり、公益と関連づけられるものである。

前記書き込みの対象は、会員が自分の身に及ぶかもしれない問題としてとらえていたID抹消や書き込みの削除、被告批判をする会員を非難して消えた会員の存在についての被告の扱いの不公正さ等であり、会員の重大関心事で公共の利害に関するものであった。

(五) 第二規約ないし第三規約において会員の違反行為とされているケイネット(コペルニクス)の「運営を妨げるような行為」は、その「システムに損害を与える行為」に匹敵する行為であることを要するところ、被告主張の本件マークの使用をはじめとする原告の書き込みはこうした行為に当たるとまではいえない。また、現実社会では、正義に反する行為や不当な行為があった場合に、これに対し反対の意思を表明する手段として、ホームページなどに一定のマークをつけることは、ネット上一般化しており、本件マークの使用も、このようなマークによる意見表明の一形式にすぎないから、直ちに被告の運営を妨げるような行為とすることはできない。

2  仮に、本件書き込みが第二規約ないし第三規約に違反する行為に該当するとしても、以下のとおり、原告と被告間において、被告が本件契約の解除をするに足りる程度に信頼関係が破壊されているとは認められない特段の事情があるから、本件解除の意思表示は無効である。

(一) 原告は一会員として活動していたにすぎないところ、原告が作成した覚書には金銭的要求は全く記載されていないし、運営委員会の設置についても、「ケイネット社員」は無条件で委員となることができることになっている。そして、原告が、自ら運営委員となる旨要求したことはなく、その権限を掌握しようとしたこともない。

(二) パソコン通信においては、他のメディアと異なり、情報内容、表現方法に対する取捨選択の余地がないため、情報内容や表現方法が大げさとなりがちであるという特性がある。したがって、パソコン通信においては、名誉毀損ないし誹謗中傷があるか否かの判断は一般社会のそれより緩和されるべきであり、運営者側においてはより慎重な判断が要求されるから、明白に違法と判断される場合を除き、発言の強制削除やID抹消は差し控えるべきである。

(三) 本件書き込みは、前記のとおり、公正な論評の法理が妥当し、違法性を欠くから、原告と被告間の信頼関係は破壊されていない。

(四) 原告は、被告の本件勧告に応じて、誓約書に署名し、被告に送付したのであるから、右誓約書の送付により、原告と被告間の信頼関係は回復した。

(五) 原告と被告は通信サービスの享受者と提供者という関係にある。一般にサービスの在り方に問題があり、対価に見合ったサービスが受けられない場合、ユーザー側はサービスの提供者に対して苦情を述べる行動をとるのは当然である。被告は、会員の存在を無視するかのようなリニューアルや新システム移行を行い、被告の運営に対して苦情を述べる書き込みに対しては、発言を封じるという短絡的な行動に出たため、ますます原告をはじめ多数の会員らの反感を買った。これに対し、会員と被告との間の話し合いが行われたものの、その席上においても、被告が事実と異なる発言をするなどした。問題が深刻になった背景には被告のこのような不適切な対応があり、このような一連の経過からすると、原告の本件書き込みによって直ちに原告と被告間の信頼関係が破壊されたとはいえない。

3  被告が本件解除の意思表示をするに先立ち、原告に対して送付した「ご通知書」と題する書面によれば、本件書き込みのうち、平成八年三月二日以前のもの(本件書き込み(1)ないし(6)、(8)ないし(16))は記載されていなかったのであるから、本件解除の意思表示がされた後において、当初解除原因と考えていなかった右書き込みを新たに解除原因として付加することは許されない。

4  原告は、被告の本件勧告に応じて、誓約書に署名し、被告に送付したのであるから、仮に、被告において解除権が発生していたとしても、被告の解除権は消滅した。

5  以上のとおり、被告は、解除権を行使できないにもかかわらず、本件解除の意思表示をし、ID抹消の措置をとったのであるから、被告の右行為は違法であって、原告に対する不法行為を構成するところ、それにより原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は一〇〇万円が相当である。

6  よって、原告は被告の運営するコペルニクスの会員である地位を有することの確認を求めるとともに、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として一〇〇万円及びこれに対する不法行為の日の後である平成八年一二月一七日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

三  被告の主張

1  本件書き込みは、表現の内容及び態様からして、被告の業務運営を批判する正当な言論の域をはるかに超えており、被告を誹謗、中傷し、もって被告の業務運営を妨害するものである。したがって、第二規約では、一五条二項三号「第三者の名誉を毀損し、又は侮辱し誹謗中傷するような行為」、同項一〇号「その他、K―NETのシステムに損害を与え、又はK―NETの運営を妨げるような行為」、同項一二号「その他、法令に違反するもの、又は違反するおそれのある行為」に該当し、第三規約では、一五条二項三号「第三者の名誉を毀損し、又は侮辱し誹謗中傷するような行為」、同項一〇号「その他、コペルニクスのシステムに損害を与え、又コペルニクスの運営を妨げるような行為」、同項一二号「その他、法令に違反するもの、又は違反するおそれのある行為」に該当する。

(一) 第二規約及び第三規約は、名誉毀損等については、社会的名誉を低下させた相手の特定、右結果の発生及び右結果発生の認識を要件としておらず、また、運営妨害についても、その結果の発生及び右結果発生の認識を要件としていないから、本件書き込みが前記のとおり第二規約ないし第三規約に違反する行為に当たることは主張上からも明確である。

(二) 被告に対する神奈川県の出資割合は発行済株式総数二四万株中の四万株、わずか16.67パーセントにすぎないから、被告は営利を目的とする純然たる商法上の株式会社であって神奈川県と同視すべき団体には当たらない。また、被告は、原告が被告の運営の在り方に苦情を述べたことを理由として本件解除の意思表示をしたものではない。

(三) 被告の会員の中には、原告主張のように、被告の業務運営に対し会員規約に違反するような表現で批判を行っていた者もいたが、被告は、それらの会員に対しては適切な対応を行い、現在では、被告の業務運営に対し理解を示している者もいる。

なお、原告の前記二の1(三)の主張は、本件口頭弁論終結日においてされたものであり、被告が反論、反証活動をするためにはさらに日時を要し、本件訴訟の完結が遅延することが明らかであるから、時機に後れた攻撃防御方法として却下するのが相当である。

(四) 原告主張の公正な論評の法理は、表現者の不法行為責任を否定する場面で問題となるのに反し、第二規約ないし第三規約で禁止しているのは、不法行為に該当する行為に限られるものではないし、被告は、本件書き込みが名誉毀損行為であることに限定せずに、原告の一連の行為を本件解除の理由としているものであるから、本件においては、公正な論評の法理の適用はない。

(五) 第二規約ないし第三規約にいう「運営を妨害するような行為」は、原告主張のように「システムに損害を与える行為」に匹敵する行為に限られるものではない。

2  本件書き込みは、以下のとおり、原告と被告間の信頼関係を破壊するに十分であるから、被告の解除権行使は妨げられない。

(一) 本件書き込みの背景には、次のような経緯がある。すなわち、原告は、被告がパソコン通信事業についての総合的なコンサルティングを委託していた訴外株式会社セコム情報システムから派遣された者の一人であり、パソコン通信サービス全体のメニュー構成、サロンマネージャーやボードマスターの選任、指導等の分野でリーダー的役割を果たし、被告社員の採用についてもアドバイスをするなどコペルニクス移行前の被告のパソコン通信事業における中核的存在であり、右委託契約終了後もパソコン総合サロンのサロンマネージャーとして積極的に活躍し、他の会員に対し多大な影響力を持っていた。しかし、原告は、平成七年七月ころから、他の会員との連名で被告に対し、「請求・警告・要求書」を送付して、被告が受け入れることのできない諸要求を行い、批判グループの中心として被告に対し七回にわたり交渉を行い、自ら文案を作成した覚書において、被告に対し「運営委員会(仮称)」なるものの設置をもちかけ、被告が運営するパソコン通信事業運営の骨格となる権限のすべてを掌握しようと試みたものである。

(二) パソコン通信における電子掲示板は、公然性を有し、また、一般的には文字のみで、相手方の表情や語調などからその発言内容の真意、感情の程度などを推し量る術がないため、これを見た者の間で独自の解釈が行われる危険があり、かえって、日常生活における表現よりも、慎重な配慮が必要である。また、被告は、右電子掲示板におけるコミュニケーションについて、管理責任を問われることからすれば、一定の裁量権をもって会員の表現行為に対応できるのであり、原告主張のようにパソコン通信であることを理由に被告の解除権行使が制限されるべき根拠はない。

(三) 原告が主張する公正な論評の法理は確立された判断基準であるとはいえないし、右法理が適用された裁判例の事案もすべて名誉毀損の被害者と名誉毀損の媒体となったメディアが無関係の第三者である場合に関するものであって、本件のように名誉毀損の被害者が名誉毀損の媒体となったメディアを運営している事案には適用はない。

3  本件解除の意思表示の前提となる解除原因は、原告主張のように「ご通知書」の記載に限定されるものではなく、本件書き込み及び原告の一連の行為にほかならない。

4  原告主張の解除権消滅の主張も失当である。被告は、本件勧告により、単に誓約書の提出を求めたのではなく、原告が行ってきた第二規約ないし第三規約に違反する行為を真に反省し、二度と被告や被告の会員その他の第三者の名誉・信用を毀損したりする会員規約違反の書き込みを行わないとの真摯な態度が表明されることを条件として、原告の会員資格取消しを回避する最後の機会とした。それにもかかわらず、原告は誓約書提出期限の当日である平成八年六月一四日になおも本件マークを使用し、原告が行った第二規約ないし第三規約に違反する行為を真に反省する態度など微塵も見ることはできない書き込みを会員らに公開しながら、誓約書の提出のみを行っているのであるから、真摯な態度の表明の一環としての誓約書の提出であるとは到底いえない。

5  そうすると、被告のした本件解除の意思表示は有効であり、ID抹消の措置が違法となる余地はないから、原告主張の不法行為は成立しない。

四  争点

1  本件書き込みは第二規約ないし第三規約に違反する行為に該当するか。

2  本件解除の意思表示には解除原因が存在するか。

3  原告の提出した誓約書によって被告の解除権が消滅したか。

4  被告のした本件解除の意思表示及びID抹消の措置は原告に対する不法行為責任を構成するか。

第三  証拠関係

本件記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

第四  争点に対する判断

一  争点1(本件書き込みと会員規約違反行為の該当性)について

1  原告が、平成四年一〇月九日、被告との間で本件契約を締結し、一般会員規約に合意してケイネット会員となり、被告からID及びパスワードを貸与されたこと、平成七年四月一日から施行されたケイネット第二規約には、前記第二の一の争いのない事実3のとおり、会員の禁止事項等が定められていること、同年八月一日、コペルニクスによる新システムに移行したが、第三規約においても、前記争いのない事実4のとおり、会員の禁止事項等が定められていることは前示のとおりである。

2  ところで、被告は、前記のとおり、パソコン通信サービス提供を目的として神奈川県と民間企業との共同出資によるいわゆる第三セクター方式で設立された株式会社であるが、原告は、被告が公共性の高い会社であり神奈川県と同視すべき団体であるとして、こうした被告との間の会員規約の解釈においては、憲法二一条の表現の自由ないし民法九〇条によるその間接適用によって限定的に解釈されるべきである旨主張する。しかし、乙二〇によれば、被告に対する神奈川県の出資割合は二四万株のうち四万株、16.7パーセントであることが認められるから、被告は神奈川県とは独立した法人格を有する株式会社であり、原告主張のように神奈川県と同視すべき団体ということはできない。もっとも、第二規約ないし第三規約は、前示のとおり、会員の一定の表現行為を制限し、その違反に対する制裁を定めており、被告は、原告の会員規約違反行為を理由に本件解除の意思表示をしたものであるから、右主張にかんがみ、右会員規約の解釈について検討する。

(一) 原告は、解除に値するべき違反行為は規約の文言以上に限定される旨主張するが、契約の自由の原則に照らすと、メディアは、自己と契約関係に立つ利用者がメディアとの事前の合意に反する表現行為を行った場合には、それが正当なものであっても、当該利用者をメディアとの契約関係から排除することは許されてしかるべきであるから、会員規約の文言が相当性、合理性を欠く場合を除き、解除に値する第二規約ないし第三規約に違反する行為の内容を会員規約の文言以上に限定して解釈することを要しないというべきである。

右規約が定める名誉毀損、侮辱及び誹謗中傷するような行為については、被告が右行為によって損害賠償責任を負うなど被告のパソコン通信事業その他の事業を遂行するに当たり不利益が生ずるおそれがあることから、これらの行為を禁止することにつき、合理性、相当性を欠くとはいえない。また、被告の運営を妨害するような行為についても、被告との契約関係を利用して私企業である被告の利益を害する右のような行為を行う者を契約関係から排除できないとするのは妥当でないから、これらの行為を禁止することにつき、合理性、相当性を欠くとはいえない。

(二) この点について、原告は、右規約におけるケイネット(コペルニクス)の「運営を妨げるような行為」とは、その「システムに損害を与える行為」に匹敵する行為であることを要すると主張するが、パソコン通信メディアにも、それ独自の表現、営業の自由があるから、そのシステムに損害を与える行為に匹敵する行為でなければ契約関係から排除することが許されないと解すべき理由はなく、原告の主張は採用できない。さらに、違法性の判断が困難であることからすれば、第二規約ないし第三規約に違反する行為が違法行為に限定されるものではないと解しても、右合理性、相当性を失わないというべきである。

原告は、また、被告の運営方法等に関しては、原告以上に強い不満を述べる会員も多数いたのに、これらの会員はID削除等の制裁を受けておらず、被告及び会員は、会員規約を限定的に解釈していた旨主張し、右主張を基礎づける証拠(甲五五、五六の各1ないし6、五七、五八、五九の2ないし13、六〇の1ないし9、六一の1ないし7、9ないし27、六二の1ないし20、六三の1ないし9)を提出している。これに対し、被告は、原告の右主張が時機に後れた攻撃防御方法であり、本件訴訟の完結を遅延させるから、これを却下するのが相当であると主張するが、本件訴訟の経緯に照らすと、その完結を遅延させるものとはいえず、証拠(甲一五の1、一七、二一、二二、二三、二七の1、2、二九、三〇の1ないし3、三一の1、2、三五の1ないし3、三八、三九、四〇、五三、五九の1、六一の8、乙一五、一八)によれば、被告は、その運営に対して批判的な書き込みに対し、削除勧告、削除、ID停止等の措置をとっていたことが認められ、右事実に照らすと、原告の主張に沿う前掲証拠だけでは、被告が右会員規約を文言以上に制限して解釈していたと認めるに足りないから、原告の主張は採用の限りではない。

(三) そうすると、本件契約においては、第二規約ないし第三規約に違反する行為の内容は規約の文言以上に限定されるものではなく、右文言に従って解釈すれば足りるというべきである。

3  そこで、会員規約の右解釈を前提とした上で、本件書き込みが第二規約ないし第三規約に違反する行為に該当するかについて検討する。

(一) まず、本件書き込み(4)、(5)、(9)ないし(12)、(14)、(16)及び同(18)のうち「マネージャーのクビをすげ替える」との部分については、多少不適切ないし不穏当な部分があるものの、おおむね被告のケイネットの運営方針等に対する個人的な意見や批判を表明したというにとどまり、被告ないしその関係者の社会的評価を低下させる名誉毀損、侮辱ないし誹謗中傷するような行為に該当するとまで認めるに足りない。また、ケイネットの代理人に対し「逃げ回る弁護士」と述べている点(本件書き込み(17))や「鳥」「ヤマ」を「IDの不正取得」者と述べている点(本件書き込み(18)、(19))については、証拠(甲八の1、一〇の3、一一の8ないし11、五一、原告本人)によれば、既にネット上において他の会員による書き込みの中で使用されていたものを単に引用したにすぎず、殊更特定人を名指しで誹謗中傷する目的に出たものでないことが認められる。そうすると、右表現は既にネット上に存する引用された表現以上に、ケイネットの代理人、「鳥」、「ヤマ」の名誉を毀損するおそれがあるともいえないから、右書き込み等をもって、直ちに会員規約違反に該当するとはいえない。

(二) しかしながら、会員であれば誰でも自由に閲覧ができる公開の電子掲示板「みんなのフリートーク」上において、被告の運営するケイネットについて、「特にリニューアルの失敗のど真ん中にいるKーネット」(本件書き込み(1))「場当たり的に言葉で誤魔化している。」「姿勢がいい加減に過ぎます。情報弱者を切り捨てたと言わざるを得ない。」「企業としてウソを言ったと評価します。」(本件書き込み(13))、「会員に対して平然と二枚舌を使うケイネットの体質」(本件書き込み(15))と書き込み、ケイネットの運営者について、「不当を訴える側は、赤ん坊に教えるような面倒くささを感じます。」「(本件書き込み(1))、「素人が運転するケイネット」(本件書き込み(2))、「パソコン通信ビジネスやその情報政策にまったくノウハウがない経営者」(本件書き込み(8))、「あれ(鳥というハンドル名により他人を中傷するメッセージを書き込みした後にIDを抹消された会員を指す)は、事務局の誰かがやったことなんでしょう。」(本件書き込み(19))と書き込み、ケイネットに従うマネージャーに対し「わけがわからないことを書き続けるマネージャーです。『事務局が良いといった』では小学生が『先生が良いと云った』というのと変わりません。」(本件書き込み(17))と書き込んでおり、これらの書き込みが、ケイネットないしコペルニクス並びにその運営者である被告及びマネージャーの名誉を毀損し、又は侮辱し誹謗中傷するような行為に該当することは明らかである。

(三) この点について、原告は、まず、本件書き込みにより社会的名誉を毀損される相手方が明らかでない上、その社会的名誉が現実に低下したこと及びこれらを原告が認識していたことについて不明確であると主張する。しかし、本件書き込みの内容自体から、前示のとおりその相手方は明確となっているし、第二規約及び第三規約において解除原因となる会員の禁止事項として掲げられている行為は、前示のとおり、「他の会員あるいは第三者の名誉を毀損し、又は侮辱し誹謗中傷するような行為」「その他法令に違反するもの又は違反するおそれのある行為」であって、社会的名誉が現実に低下したことは要件とされていない。また、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、ケイネットにおいてはIDやハンドル名から実名を検索することが可能であり、現に原告においてハンドル名「ヤマ」についてその実名を検索したことが認められ、右事実からすれば、「みんなのフリートーク」に書き込みを行えば、特定の法人ないし個人の社会的名誉を低下させることができることにつき原告自身認識していたものと推認できるから、原告の右主張は採用できない。

原告は、また、本件書き込みが名誉毀損行為に該当するとしても、公正な論評の法理により違法性が阻却されるから、結局、第二規約ないし第三規約に違反する行為に該当しない旨主張する。しかし、本件契約の第二規約ないし第三規約に違反する行為が必ずしも違法行為に限定されるものでないことは、前示のとおりであり、原告の行った本件書き込み行為につき民事上の不法行為責任が成立せず、したがって相手方に対する損害賠償義務が発生しないときであっても、会員規約を設けた趣旨・目的やケイネットの円滑な運営等の主宰者としての管理責任上の問題、更には不特定多数の会員相互間の利益調整等の観点から第二規約ないし第三規約の違反の有無を判断するのが相当である。したがって、原告の主張する公正な論評の当否についても、右の判断過程における一事情として考慮すれば足りるものというべきである。

(四) 原告は、「みんなのフリートーク」上において、ケイネットの運営方法等に対する意見や批判にとどまらず、「ウソつき」とか、「場当たり的に言葉で誤魔化している。」、「姿勢がいい加減に過ぎます。情報弱者を切り捨てたと言わざるを得ない。」、「ウソを言った。」、「会員に対して平然と二枚舌を使うケイネットの体質」(前掲のとおり)と書き込み、他方で、本件マークについて、「現在のケイネットのやり方に反対するマーク Kの反対と不当な強行にストップの意味。」(本件書き込み(3))、「【V―】は、ケイネットの現在の方向に対してネガティブな姿勢を示すマークであって、本当はないほうが良いに決まっていて、複雑です。」(本件書き込み(6))と説明した上で、「気に入った人は使ってください。CopyR-ightFreeだよ。」(本件書き込み(3))、「こういうマークを使うのも勇気がいることも分かります。ホントに気に入ったらでけっこうです。使ってみてください。CopyRightFreeです。僕は自分が納得いくまで使うことにします。」(本件書き込み(6))と書き込みをして本件マークの使用を会員に呼びかけ、自らもその使用を継続したことは前示のとおりである。そして、証拠(甲八の1、一〇の3、一一の10、一二の5、7、11、一三の7、一四、一九、二九、三〇の1ないし3、三五の1、六一の21ないし27、六二の9、12、乙五、一一、一六、原告本人)によれば、原告の右呼びかけに応じて、会員の中には本件マークを使用し始めた者がいることが認められるから、以上の事実からすれば、ケイネットに対する意見や批判のみならず、名誉毀損的行為をした上で、本件マークを考案して自ら使用を継続したほか、本件マークの使用を他の会員に呼び掛ける書き込みを行った原告の右行為を全体的に観察すると、被告の運営方針に対する単なる批判にとどまらず、一般会員のケイネットの主宰者である被告に対する信頼関係を大きく損ねるとともに、ひいては被告のケイネットの運営上重大な支障を来すものといわざるを得ない。

(五) ところで、原告は、運営妨害については、運営上の具体的な支障が生じたこと及び右結果の発生を原告が認識していた事情はない旨主張するが、右主張が理由のないことは、前記(三)の説示に照らして明らかである。

原告は、また、現実社会では正義に反する行為や不当な行為があった場合に、これに対して反対の意思を表明する手段として、ホームページ等に一定のマークをつけることは、ネット上一般化しており、本件マークの使用も、このようなマークによる意見表明の一形式にすぎないとして、被告の運営を妨げるような行為に当たらない旨主張する。しかしながら、前記のとおり、本件において原告のした第二規約ないし第三規約に違反する行為と目された運営妨害的行為は、単なる被告の運営するケイネットに対する意見や批判にとどまらず、本件マークを考案・使用した上、これを更に他の会員に使用することを呼び掛けているものであって、右行為のほか、前示のとおり、ケイネットないしコペルニクス及びその運営者である被告の名誉を毀損し、又は侮辱し誹謗中傷するような行為を繰り返し行っていることなどを全体的に評価するときは、本件マークの使用が単なる反対の意見表明の一環としてされたものとは到底いえない。そうすると、原告の前記主張は前提を欠き、採用することはできない。

4  したがって、本件書き込み中、(1)ないし(3)、(6)、(8)、(13)、(15)、(17)、(19)の各書き込み及び(7)の本件マークの継続的使用は、第二規約ないし第三規約に違反する行為に該当するものと認めるのが相当である。

二  争点2(本件解除の解除原因の存否)について

1  証拠(甲一五の2、一七、二一ないし二三、三四、四二、五二ないし五四、乙五、一一、一三、一五、一八、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ、これに抵触する原告本人尋問の結果は採用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) 原告は、被告が平成三年四月から平成六年四月までパソコン通信事業について総合的なコンサルティングを委託していた株式会社セコム情報システムから派遣された者の一人であり、パソコン通信サービス全体のメニュー構成、サロンマネージャーやボードマスターの選任、指導等の分野ではリーダー的役割を果たしてきたもので、被告の従業員である平岡の採用についてもアドバイスをする等コペルニクス移行前の被告のパソコン通信事業における中核的存在であり、右委託契約終了後もパソコン総合サロンのサロンマネージャーとして積極的に活躍し、他の会員に対して多大な影響力を持っていた。また、右平岡が、平成六年一二月ころ、サロンのリニューアルについて助言を求めたこともあった。

(二) 被告は、平成七年四月一一日、旧サロンを閉鎖するリニューアルを行い、その後、一時的に「みんなのフリートーク」ではネットの運営に関することを書き込まないというローカルルールを設けた。そして、平成七年八月一日からケイネットの名称をコペルニクスと改め、操作方法が全く異なるホストシステムを採用することを発表した。右システムに移行したため、従前のシステムに慣れていた利用者、特に身体障害者や高齢者、初心者にとっては、多かれ少なかれ不便な思いを余儀なくされることとなった。

(三) 右新システム採用に対し、原告は、平成七年七月二三日、他の会員との連名で被告に対し、「請求・警告・要求書」を送付して、損害賠償請求、新システム移行の中止、担当者の責任追及、全会員に対する謝罪、事務局人事の刷新、運営委員会の設置、会員の希望に基づく旧サロンの復活、ID使用停止処分の撤回、旧サロンマネージャーに対する謝罪、モデム(データ伝送用の変復調装置)の返還による解約の容認、著作権等に関する規約の改定などの諸要求を行い、同年八月一〇日から同年一二月二八日まで、被告に対し七回にわたり交渉を持った。原告らは、同年一〇月二八日、損害賠償請求については取り下げたが、それ以外の要求についてはなおも維持した。被告は、同年一二月一八日、運営委員会の設置について、その権限を運営に関する助言、提言をすることとした上で、一般会員及びサロンマネージャーの委員枠を一〇名中四名とする提案をしたが、原告らは受け入れなかった。なお、右交渉の間においても、原告は、本件マークの使用やその使用の呼びかけを行っていた。

(四) 原告は、平成八年二月ころ、自ら覚書を作成し、被告に対し、平成七年四月のリニューアルに伴う全サロンの閉鎖や同年八月のコペルニクスへの移行による新システムの導入等が行われた結果、会員に多大の迷惑をかけたことを反省し、ケイネット上において全会員に謝罪するとともに、これに関連した担当者の責任追及、ID使用停止処分の撤回、旧サロンマネージャーに対する謝罪、「運営委員会(仮称)」の設置等を要求した。右覚書中における「運営委員会」の構成は委員数二〇名中一五名以上を会員委員とするというものであり、また、同委員会は、被告が運営するパソコン通信事業の骨格となる権限行使について審査するというものであった。そのため、被告は、右覚書の記載内容が一方的であり、到底受け入れることができないものであると判断して、即時、右要求を拒絶した。原告と被告はともに再提案をするよう求めたが、結局、互いに再提案をすることはなかった。

2  右認定事実に基づき、第二規約ないし第三規約に違反する行為に当たる原告の本件書き込みにつき、原告と被告間において、被告が本件契約を解除するに足りる程度に信頼関係が破壊されているとは認められない特段の事情があるかどうかについて判断する。

(一) まず、原告の主張する公正な論評の視点から、原告と被告間の信頼関係の破壊の有無について検討する。

原告は、本件書き込み(1)ないし(3)、(6)、(8)、(13)、(15)をした目的について、単に被告をおとしめようとか被告を攻撃しようという意図に出たものではなく、神奈川県の情報政策の一端を担っている被告が、リニューアル及び新システム移行により身体障害者を始め多くの会員のコミュニティーを損なっており、被告の批判を封じたり、被告を批判した者をネット上から抹殺する行為は、ネットワーク社会における表現の自由の侵害、個人の自由な精神活動の否定であって許されないものと判断し、被告に対し、その体質の改善を心から求めようとしたものであると主張する。しかし、前記本件書き込みの内容自体から原告が主張するような公益目的を推認することができない上、前記認定のとおり、平成七年七月二三日以降、被告と原告との間で話合いが行われてきたが、原告の要求内容は、単なる被告の体質改善の域にとどまらず、担当者の更迭や強力な権限を有する運営委員会の設置を求めるという、被告側の立場を全く顧慮しない一方的なものであり、そのため、被告が右要求を受け入れることができなかったという経緯がある。のみならず、右の話し合いの過程においても、原告は、前記内容の本件書き込みを行っていたことを併せ考えると、原告が前記書き込みをした目的は、被告を原告の右一方的な要求に従わせることにあったことがうかがわれるのであり、右書き込みが原告主張のような目的に出たものと認めるのは困難である。

また、原告は、本件書き込み(17)、(19)の目的は、マネージャー、被告の会員に対する対応改善等であり、公益と関連づけられたものであると主張する。しかしながら、その内容自体からは原告の主張するような公益目的を推認することができない上、原告本人尋問の結果によれば、原告は右書き込みと同時期に被告から挑発を受けていると感じていたことが認められ、そうすると、「わけがわからないことを書き続けるマネージャーです。『事務局が良いといった』では小学生が『先生が良いと云った』というのと変わりません。」といった侮蔑的表現が単純に公益と関連づけられるものでないことは明らかであり、むしろ、原告の被告に対する悪感情の発露というほかない。

そうすると、公正な論評の法理の当否を論ずるまでもなく、原告の前記書き込みの目的からしても、原告と被告間の信頼関係を破壊するに足りない特段の事情があるということはできない。

(二) 原告が、被告の求めに応じて誓約書を提出するに当たり、蛍光ペンで署名し、被告に送付したことは前記争いのない事実のとおりであるところ、原告本人は、右蛍光ペンで署名した理由につき、右誓約書がコピーされ被告から業務妨害を受けることをおそれたことによるものであると供述する。しかし、原告本人尋問の結果によっても、右誓約書の内容については被告と交渉したが、その際公開の有無については全く交渉していないというのであり、また、蛍光ペンの署名でもコピーは可能である上、右誓約書が公開されることにより原告の業務が妨害されるという理由づけはいかにも唐突であって合理性を見い出せないから、こうした点を併せ考えると、原告本人の右供述部分はにわかに信用することができない。そうすると、被告は、原告から提出された誓約書の署名が合理的理由なく蛍光ペンによりされていたことから、誓約書の再提出を求めた上、本件解除に及んだものと認められる。

(三) また、原告は、原告と被告は通信サービスの享受者と提供者という関係にあり、一般にサービスの在り方に問題があって、対価に見合ったサービスを受けられない場合に、ユーザー側はサービスの提供者に対して苦情を述べる行動をとるのは当然であり、右苦情に対する被告の対応に問題があったというにすぎないから、原告の本件書き込みによって直ちに原告と被告間の信頼関係が破壊されたとはいえない旨主張する。確かに、一般の商取引において業者のサービスの在り方に問題があり、対価に見合ったサービスが受けられない場合には、ユーザー側がサービスの提供者に対して苦情を述べる行動に出ること自体、格別不合理であるともいえないし、また、本件においては新システムへの移行に伴って旧システムに慣れ親しんでいた会員が多かれ少なかれ不便な思いを余儀なくされたことは前示のとおりである。しかしながら、原告の前記第二規約ないし第三規約に違反する行為(本件書き込み(1)ないし(3)、(6)、(8)、(13)、(15)、(17)、(19))は全会員が自由に閲覧可能な公開の「みんなのフリートーク」上で行われており、しかも被告に対する単なる苦情の域を超えたものである。そして、被告が「みんなのフリートーク」においてネット運営に関する発言を禁止するローカルルールを一時的に設けるという措置をとったことについてみるに、被告が会員規約に基づき会員の承諾なく右規約の改定ができること、仮に被告の行ったリニューアルや新システムへの移行が不適当であったとしても、右リニューアルや新システムへの移行が本件契約に違反するものでないことなどにかんがみれば、リニューアルや新システムへの移行による会員間の一時的な混乱を防止するために、公然性を有する電子掲示板におけるネット運営に関する発言を一時的に制限した被告の対応をとらえて不適切であったとまでいうことはできない。そうすると、原告の主張する右事情をもって、原告と被告間の信頼関係を破壊するに足りない特段の事情として考慮することはできない。

(四) さらに、前示のとおり、原告は、被告がパソコン通信事業についての総合的なコンサルティングを委託していた株式会社セコム情報システムから派遣された者の一人であり、パソコン通信サービス全体のメニュー構成、サロンマネージャーやボードマスターの選任、指導等の分野ではリーダー的役割を果たし、被告の従業員の採用についてもアドバイスをするなどコペルニクス移行前の被告のパソコン通信事業における中核的存在であった。右委託契約終了後もパソコン総合サロンのサロンマネージャーとして積極的に活躍し、サロンのリニューアルの直前に、右リニューアルについて被告の従業員からも助言を求められる立場にいたのであるから、原告は、本件書き込みが一般会員に与える影響力等については十分知り尽くしていたものと推認するのが相当である。

それにもかかわらず、原告は、被告に対する批判グループの中心となって、被告に対して熾烈な批判行動を続け、被告からその運営するパソコン通信事業の骨格となる権限を運営委員会に移管することを要求している。この点について、原告本人は、被告の運営するパソコン通信事業が良くなることを思って批判、交渉をしてきた旨供述するが、にわかに信用できないことは既に判示したとおりである。原告が第二規約ないし第三規約に違反する行為を行っており、前記のとおり、原告と被告間の信頼関係を破壊したと認められる事情があることを前提とすると、原告と被告間の交渉において、被告が事実と異なる発言をしたことがあるとしても、原告と被告間において、信頼関係が破壊されていないとするのは相当でない。

右のとおりの原告と被告との従前の関係や原告の他の一般会員に対する影響力の大きさ等を併せ考えると、原告が被告に対する批判グループの中心となって活動することは、かえって、原告と被告間の信頼関係を失わせる結果を導くものといわざるを得ない。

(五) また、原告は、パソコン通信においては、他のメディアと異なり、情報内容、表現方法に対する取捨選択の余地がないため、情報内容や表現方法が大げさとなりがちであるという特性があるとして、名誉毀損ないし誹謗中傷があるか否かの判断は一般社会のそれより緩やかに解釈されるべきであり、運営者側においてもより慎重な判断が要求されるから、明白に違法と判断される場合を除き、発言の強制削除やID抹消は差し控えるべきであると主張する。確かに、パソコン通信においては、情報内容や表現方法が大げさとなりがちであるという一面のあることは否定することはできないが、他方において、パソコン通信は、一般的には文字のみであり、相手方の表情や語調などからその発言内容の真意や感情の程度などを推し量る術もないため、これを見た者の間で独自の解釈が行われる危険のあることも指摘しなければならない。したがって、パソコン通信においては名誉毀損ないし誹謗中傷があるか否かの判断は、必ずしも、一般社会における判断より特に緩和されるべきであるとはいえないから、原告の右主張は採用することができない。

(六) 以上のとおり、原告が第二規約ないし第三規約に違反する行為に該当する本件書き込みを行ったことにつき、原告と被告間において、本件契約を解除するに足りる程度に信頼関係が破壊されているとは認められない特段の事情があるということはできない。

3  原告は、被告が本件解除の解除原因としたのは、原告に対し送付した「ご通知書」と題する書面に記載されたものに限定され、これに記載されていないもの、すなわち、本件書き込みのうち、平成八年三月二日以前のもの(本件書き込み(1)ないし(6)、(8)ないし(16))を解除原因として付加することは許されない旨主張する。

しかし、解除の意思表示については、解除原因の摘示を要するものではなく、その解除原因に基づいて解除の意思表示がされれば足りるというべきである。本件において、甲四によれば、原告は、本件解除の意思表示において、平成八年三月二日以後の「みんなのフリートーク」内への書き込みを解除原因たる行為として摘示していること、被告が提出を求めた誓約書には「今後貴社、会員その他第三者の名誉・信用を害したり、誹謗、中傷するような書き込みはもちろんのこと、他の会員をして不快の念を抱かせるおそれのある書き込みを二度としないことをここに誓約致します。」との記載があることが認められるから、これによれば、被告が原告の「みんなのフリートーク」内への書き込み及びその態様に基づいて解除の意思表示をしたことが明らかであり、他方、右摘示を限定列挙であると認めるに足りない。したがって、原告の右主張は採用することができない。

三  争点3(被告の解除権の消滅の有無)について

1  被告において、原告に対し、会員規約に違反する書き込みを行ったとしてその削除を求めるとともに、ケイネット上で第三者の誹謗、中傷に当たる書き込みをしないことなどを内容とする誓約書の提出を要求し、これに応じない場合には原告のIDを抹消すると勧告したこと、原告が、被告の本件勧告に応じ誓約書に蛍光ペンで署名し、被告に送付したことは前示のとおりであるところ、原告は、蛍光ペンであっても自署であることに変わりがなく、したがって蛍光ペンにより署名した誓約書を提出したことにより、被告の解除権は消滅した旨主張する。

2  しかしながら、原告が第二規約ないし第三規約に違反する行為を行っていること及び原告と被告間の信頼関係が破壊されていることは既に認定判断したとおりであり、右の事実関係に照らすと、被告は、単に誓約書の提出を求めたのではなく、右の違反行為を反省し二度と被告や被告の会員その他の第三者の名誉・信用を毀損するような会員規約違反の書き込みを行わないとの真摯な態度が表明されることを条件として原告の会員資格取消しを回避する最後の機会を付与したものと認めるのが相当である。ところが、証拠(乙七、一五、原告本人)によれば、原告は誓約書提出期限の当日である平成八年六月一四日になおも被告の運営方針に反対する意思を示す本件マークを使用し、「みんなのフリートーク」上に、誓約書提出に関して『「正しいことを正しいと云う」「不当なことを不当だと云う」のはネットワーク社会の市民の権利です。』等の被告の誓約書提出要求を批判する旨の書き込みをしていること、また、原告は、被告の再度の誓約書の提出要求に対してこれを拒絶し、その合理的な理由も告げていなかったことが認められる。右の事実からすると、原告が行った第二規約ないし第三規約に違反する行為につき真摯に反省するという態度は全く認められないというべきであり、また、再度の誓約書の提出を被告に対して合理的理由を示すことなく拒絶していることなどを併せ考えれば、蛍光ペンで署名した誓約書の提出は前記真摯な態度の表明の一環としての誓約書の提出ということはできない。

3  そうすると、原告は被告の提示した契約解除をしないことの条件を充足していないことに帰するから、原告主張のように誓約書の提出によって被告の解除権が消滅したということはできない。

四  争点4(本件解除及びID抹消の措置と被告の不法行為責任の成否)について

被告のした本件解除及びID抹消の措置が有効であることは、以上の認定及び判断に照らして明らかであるから、これらが原告に対する不法行為責任を構成する余地はない。そうすると、原告の損害賠償請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

第五  結論

以上の次第であるから、原告の請求はいずれも理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官篠原勝美 裁判官板垣千里 裁判官田中寛明)

別紙書き込み一覧表

(1) 書き込み日 平成七年六月二〇日

書き込み内容 「会員から事務局不信の声が出ないか、出たとしても営業上無視できる程度と考えていたとしたら、その不当性を訴える側は、赤ん坊に教えるような面倒くささを感じます。」「特にリニューアルの失敗のど真ん中にいるK―NET」「その意味では、ネットワーク事業会社がネットワークを上手に使っていないということでしょうか。まあ、これは、K―NETに限らず、どこのネットでも運営会社は、縦型の従来型の企業ですからある程度はあるわけですが、現在のK―NETはちょっと極端ですね。」

(2) 書き込み日 平成七年六月二七日

書き込み内容 「要するにパソコン通信についてあまりよく分かっていない人たち、素人が運転するK―NETという印象でした。」

(3) 書き込み日 平成七年六月三〇日(一四時四九分)

書き込み内容 原告は、「【V―】」なる本件マークを創出し、「現在のケイネットのやり方に反対するマーク Kの反対と不当な強行にストップの意味。気に入った人は使ってください。CopyRightFreeだよ。というわけでハンドルを「たかぎ【V―】に変更しました。」との書き込みを行い、本件マークの使用を会員に呼びかけた。

(4) 書き込み日 平成七年六月三〇日(一五時五三分)

書き込み内容 「実際のK―NETの運営について企画を提案する人の中にパソコン通信やその上のコミュニケーション、そしてユーザーの気持ちを十分に理解しないまま、個人的な思いつきを強行している人がいる感じがしています。」

(5) 書き込み日 平成七年七月三日(一一時二七分)(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「ケイネットは、第3セクターとして特別の目的を持った株式会社です。(中略)その目的をはずれて良いのか?という根元的な疑問ですね。」「どうして県民の税金がつぎ込まれているのかを忘れてもらっては困ります。」「それは、オンライン上で社長が宣言してどうなるものではなく、契約相手である個々の会員が承諾しなければ出来ません。これなくして強行すれば、債務の不履行であって、違法(民事的でも違法は違法)です。」

(6) 書き込み日 平成七年七月三日(一一時二七分)

書き込み内容 「【V―】は、ケイネットの現在の方向に対してネガティブな姿勢を示すマークであって、本当はないほうが良いに決まっていて、複雑です。」「事務局は、じっと動かずに待っていれば、次第に沈静化して化石化してしまうのです。でも、それではやはり困るので、自分のハンドルに【V―】を埋め込んで、ずっと意思を表明することを考えました。」「こういうマークを使うのも勇気がいることも分かります。ホントに気に入ったらでけっこうです。使ってみてください。CopyR-ightFreeです。僕は自分が納得いくまで使うことにします。」

(7) 原告は、前記(6)以降も被告が原告の会員資格を抹消するまで、本件マークの使用を継続した。

(8) 書き込み日 平成七年七月五日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「リニューアル時も事務局は、守秘義務を振りかざすなど、ややヒステリックな対応が目立った」「そのためには、あのリニューアル案では無理だったでしょうが。」「正常なビジネス常識からはかけ離れたものでした。さらに、輪をかけたのが、リニューアル後のサロン構成のまずさだったと思っています。」「パソコン通信ビジネスやその情報政策にまったくノウハウがない経営者を選任した責任は県にもあります。」

(9) 書き込み日 平成七年七月一二日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「なんか、すんごく、捕らぬ狸の皮算用って気がしますね。」

(10) 書き込み日 平成七年七月一七日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「みんなが変だと思っているのに少数の意見が組織の構造的な欠陥から通って行ってしまうことがあります。今のK―NETは、そういう状況ではないかと少し思い始めています。」「社内では『経営方針が気にいらない人はいつでも辞めて結構』とよく云われるみたいですから」「ただ、誰が僕に云ったか見つけだしてもとてもクビにできる人数ではないのですが…」「多くの人が変だと思っていてもドンと胸を叩いて「まかせて下さい。そのかわり口は出さないでください」と言った手前、どうしてもリニューアルが失敗したとか、新システム移行が難しいとか云えないわけです。」「この変な構造の中を一部の社員の強引な考え方が、どうどうと通って行ってしまっている?」「K―NETもそうなる可能性が、少なくないと思います。自由市場から見放されるわけです。」「一部の社員の変な運営をどこかで見直すべきじゃないかな?」

(11) 書き込み日 平成七年七月一九日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容「会員管理が悪いぞ、ケイネット」「ずさんだぞ―Vケイネット」

(12) 書き込み日 平成七年七月二一日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「このネットの運営者が、パソコン通信の文化やその発展に対して無知なのか、無視しようとしているのか、いずれにしても逆行ですね。」

(13) 書き込み日 平成七年九月一三日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「僕は、情報弱者の問題について、単なる対応の遅れとかでなくケイネットはウソをついているのだと思っています。」「ケイネットは場当たり的に言葉で誤魔化しているとしか考えられません。」「この問題に対するケイネットの姿勢がいい加減に過ぎます。情報弱者を切り捨てたと言わざるを得ない段階です。」「これまでの発言は企業としてウソを言ったと評価しています。」

(14) 書き込み日 平成七年一一月二二日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「参加しやすいボード、情報が集まるボードにするためにネット運営者がなすべき気配りを考えることだと思います。今は、気配りのかけらも感じられません。」

(15) 書き込み日 平成七年一一月二四日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「考えなくちゃいけないのは、第1にリニューアルがこういう常識とかけ離れた理由で行われたこと。そして、第2に会員に対して平然と2枚舌を使うケイネットの体質でしょう」「事務局のいい加減さで会員が無駄な書き込みエネルギー使うのはバカらしいでしょ。」

(16) 書き込み日 平成八年三月二日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「リニューアルで、このネットの事務局が健全なコミュニケーションを壊してしまって、多くの会員につらい思いをさせてしまった」「具体的にこのネットがやってしまったひどいことをどう処理するか」

(17) 書き込み日 平成八年五月二四日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「MONTY【V―】さんのところに来たID停止の通告書の内容証明郵便についてもう一度藤原弁護士からケイネットの逃げ回る弁護士さんに話しかけてもらったらどうでしょう。」「わけがわからないことを書き続けるマネージャーです。『事務局が良いといった』では小学生が『先生が良いと云った』というのと変わりません。」

(18) 書き込み日 平成八年六月一日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容 「あのヤマさんはIDの不正取得者です。事務局とか運営者の批判が続いていてその関係者かどうか分かりませんが、虚偽の内容の入会手続きでIDを取得して議論を混乱させた人たちです。ネットワークの中ではもっとも軽蔑すべき存在です。」「現状では、事務局は会員の批判に基づいてこのネットを何とかよくしていく度量はないのかも知れません。また、現実に正規のSM(サロンマネージャー)がいないサロンがいくつもあったり、BM(ボードマネージャー)不在のボードが半数近くにもなっていると今このマネージャーのクビをすげ替えるのはむずかしいのかもしれません。」

(19) 書き込み日 平成八年六月三日(「たかぎ【V―】」の署名でのもの)

書き込み内容「…だからと云ってヤマさんたちのID不正取得が正しいことにはならないでしょう。オンラインサインアップで虚偽の内容を申告し、ほかのメンバーが実名で書いているところに匿名で書き込む人を認めるのでしょうか。そういうものにもアナーキーな面白さはあるでしょうが、これからの健全なネットワークを考える上では、不要であり、有害だと思いますよ。」「このネットでは、以前鳥さんという人がやはり同じ手で中傷といえるメッセージを書き逃げしたわけです。あれは、事務局の誰かがやったことなんでしょうが、結局あれからは何も生まれませんでした。当然といえば当然です。」

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